プレーンバニラの解析解

評価式

 プレーンバニラの評価額\( C_{bs} \)は、将来のある一時点\( t=T \)で行使を想定する場合、ブラック・ショールズ式により与えられます。
 日本基準で公正な評価単価を算出するにあたり、予想残存期間を「みなし予想残存期間」とする場合には、この評価式で評価することになります。

\[ C_{bs} = S(0)e^{-qT}N(d_{1}) – Ke^{-rT}N(d_{2}) \]

\begin{gathered}
d_{1} = \frac{\log{\frac{S(0)}{K}}+(r-q+\frac{1}{2}\sigma^{2})T}{\sigma\sqrt{T}}, \quad d_{2}=d_{1}-\sigma\sqrt{T}
\end{gathered}

 \( N(d1) \)\( N(d2) \)は、それぞれ株式と預金を基準財として考えているという違いはありますが、いずれもオプションがインザマネーとなる確率を表しています。

 そういうものとして評価式をみると、インザマネーとなる場合に満期時点で\( S(0)e^{(r-q)T} \)を受け取り\( K \)を支払う(注)、その現在価値(\( \times e^{-rT} \))が評価額、という式になっています。

(注)\( K \)はいつの時点でも\( K \)ですが、\( S(0) \)は平均的に年率\( r \)で成長し、年率\( q \)だけ配当で減価していくので、満期での(平均的な)価値は\( S(0)e^{(r-q)T} \)となります。

 (ご参考)プレーンバニラで早期行使を想定する場合の解析的評価については「早期行使のあるプレーンバニラの近似的解析解」をご参照ください。

評価式のコード

C_bs <- function(S0, K, sigma, r, q, Y) {
 d1 <- ( log(S0/K) + (r - q + (1/2)*sigma^2)*Y ) / (sigma*sqrt(Y))
 d2 <- d1 - sigma*sqrt(Y)
 result <- S0*exp(-q*Y)*pnorm(d1) - K*exp(-r*Y)*pnorm(d2)
 return(result)
}

使い方


{
 S0 <- 1000 # 株価
 K <- 1000 # 行使価格
 sigma <- 0.5 # ボラティリティ(年率)
 r <- 1.5 / 100 # 無リスク金利(年率)
 q <- 20 # 配当金額(年額)
 Y <- 10 # 満期(年)
}

{
 # インプットの変換
 r <- log(r + 1)
 q <- log((q/S0) + 1)
}

C_bs(S0, K, sigma, r, q, Y)