有償ストック・オプションの払込金額について

評価アプローチ

 ストック・オプション(「SO」といいます。)が有償で付与される場合、その払込金額の算定を目的とした評価が必要になりますが、評価方法について会社法に規定はありません。

 会計上の費用が
 SOの公正な評価単価 ×(付与数− 権利不確定による失効の見積数)− 有償SOであれば払込金額
 に基づくことを考えると、両者が異なるアプローチでは整合性が取れないように思えます(注)。そのため、基本的には、公正な評価単価に準じるべきと考えますが、株価条件によっては(予想残存期間ではなく)満期までの条件判定を反映すべきものもあろうかと思います。
(注)実務対応報告の設例においても、発行当初は「公正な評価単価×株数」と「払込金額」とが一致している想定となっています。

 なお、払込金額の算定は、会計上の公正な評価単価と異なり、実際の取引金額(通常の意味での公正価値)を計算するものです。そのため、株価条件以外の「それ以外の業績条件」で数理的に評価可能なものはすべて反映します。

評価基準日

 払込金額の評価基準日は、発行決議日の前取引日となるのが通常です。発行決議日の前取引日の市場データ(注)に基づく評価結果を参照し、その翌日の発行決議日に発行決議がなされます。
 したがって、上場企業が有償SOを発行する場合、発行決議日の前取引日に払込金額の評価、割当日に公正な評価単価の評価、2回の評価が必要になります。
 (注)株式市場の取引終了15:30 から数時間以内での評価作業ということになります。事前準備が重要となります。

 なお、「行使価額を割当日の株価終値と同額とする」等の発行条件の場合、発行決議日前日の払込金額の評価時においては行使価額が確定しません。「発行決議日に行使価額が確定していない場合」の考え方に従って評価を行います。