株価モデルは連続時間の確率微分方程式であるため、これをコンピュータ・シミュレーションするため離散化する必要があります。
これも、株価モデルとしてブラック・ショールズ・モデルを採用しているため、離散化誤差を小さく抑えたまま容易に離散化することが可能です。
ブラック・ショールズ・モデルは株価を\( T \)を満期として
\[ S(T) = S(0) \exp{ \left( (r – q + \frac{1}{2} \sigma^2) T + \sigma W(T) \right) }\]
と想定するものですが、次のように離散化することができます。
時刻\( 0 \)から\( T \)を仮に10分割するとして、\( t_1 = 0 + \frac{T}{10} \)、\( t_2 = t_1 + \frac{T}{10} \)、・・・、\( T=t_{10} = t_9 + \frac{T}{10} \)として
\[ S(t_1) = S(0) \exp{ \left( (r – q + \frac{1}{2} \sigma^2) \frac{T}{10} + \sigma W(\frac{T}{10}) \right) }\]
\[ S(t_2) = S(t_1) \exp{ \left( (r – q + \frac{1}{2} \sigma^2) \frac{T}{10} + \sigma W(\frac{T}{10}) \right) }\]
・・・
\[ S(T) = S(t_9) \exp{ \left( (r – q + \frac{1}{2} \sigma^2) \frac{T}{10} + \sigma W(\frac{T}{10}) \right) }\]
とできます。
さらに、\(r\)、\(q\)、\(\sigma\)を\( \frac{T}{10} \)に対応するよう変換すれば、
\[ S(t_1) = S(0) \exp{ \left( (r – q + \frac{1}{2} \sigma^2) + \sigma W(1) \right) }\]
\[ S(t_2) = S(t_1) \exp{ \left( (r – q + \frac{1}{2} \sigma^2) + \sigma W(1) \right) }\]
・・・
\[ S(T) = S(t_9) \exp{ \left( (r – q + \frac{1}{2} \sigma^2) + \sigma W(1) \right) }\]
とできます。\( W(1) \)は標準ブラウン運動の\( t=1 \)時点での値ですが、実装上は標準正規分布に従う確率変数と考えておけば問題ありません。