ストック・オプションの費用処理について

 インセンティブ目的でストック・オプション(「SO」といいます。)を発行する場合、会社の採用する会計基準に従った公正な評価単価の評価が求められます。
 日本基準、IFRSを想定して、公正な評価単価に基づく費用処理を概観します。

上場企業の発行するストック・オプションの場合

 日本基準またはIFRSいずれであっても、
 SOの公正な評価単価 ×(付与数− 権利不確定による失効の見積数)− 有償SOであれば払込金額
を費用処理することになります(実務対応報告第5 項(3))。
 ただし、SO の公正な評価単価及び失効の見積数の考え方については、日本基準とIFRSとで差異があります(「費用処理の基礎となる公正な評価単価について」をご参照ください。)。

未上場企業の発行するストック・オプションの場合

  • 日本基準の場合
    • 無償SO  本源的価値を費用処理すればよく(会計基準第13 項)、公正な評価単価の評価は不要です。
    • 有償SO  本源的価値から払込金額を控除した額を費用処理すればよく(実務対応報告第5 項(3) に会計基準第13 項の読み替えを適用)、公正な評価単価の評価は不要ですが払込金額の評価は必要です。
  • IFRS の場合 原則的には、上場企業と同様にSO の公正な評価単価及び払込金額に基づき費用処理を行います。

 本源的価値とは、発行時に即時に行使したとして得られるキャピタルゲインの金額です。発行時の株価\( S(0) \)から行使価額\( K \)を控除した額と0の小さくない方の金額\( \max(S(0)−K,0) \)として算出します。行使価額を発行時の株価以上の金額で設定する場合にはゼロとなります。

株価算定の必要性

 未上場企業がストック・オプションを発行する場合、その行使価額の決定のため、また、払込金額の評価及び本源的価値の評価のため、発行時点における株価算定が必要になります。